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北朝鮮系資金洗浄インフラ・ネットワーク分析
2026.07.01

✅ レポートタイトル:北朝鮮系資金洗浄インフラ・ネットワーク分析



✅ レポートの要約:


- 北朝鮮は国際的な金融制裁による外貨確保の制約を回避するため、仮想資産の窃取とマネーロンダリング活動を継続的に実施しています。


- 代表的な事例としては、Ronin Bridge(2022年)、Horizon Bridge(2022年)、Atomic Wallet(2023年)、DMM Bitcoin(2024年)、Bybit(2025年)などがあり、米国政府や主要なブロックチェーン分析会社は、これらをLazarusやTraderTraitorといった北朝鮮に支援された脅威グループの活動として評価しています。



📌 北朝鮮の仮想資産窃取とマネーロンダリング活動


- 北朝鮮の支援を受けた脅威グループは、窃取した資産をすぐに現金化するのではなく、複数の段階にわたるロンダリングフローを構成する傾向があります。ただし、すべての事案で同一のサービスが使用されるわけではありません。公開された事案をもとにすると、脅威アクターは窃取した資産を複数のウォレットに分散させた後、ミキサー、ブリッジ、クロスチェーンスワップ、交換サービス、OTCネットワークを選択的に利用し、最終的にはUSDTやUSDCなどのステーブルコインに変換した上でOTCネットワークを通じて現金化します。



📌 マネーロンダリングの手順


- 各段階の特徴は以下のとおりです。


1) 初期分散フェーズ


  - 窃取した資産を数百から数千のウォレットに分散させ、追跡や資産凍結を困難にします。


2) ミキサー段階


  - 一部の事案ではミキサーが使用されます。ミキサーとは、複数ユーザーの仮想資産を混合して新しいアドレスに再分配することで、送信者と受信者の間の関連性を弱めるサービスを指します。


3) ブリッジ/クロスチェーンスワップ段階


  - 一部の事案ではブリッジやクロスチェーンスワップが活用されます。ブリッジは異なるブロックチェーン間の資産移動をサポートするサービスであり、クロスチェーンスワップは中央集権型取引所を介さずに異なるブロックチェーンの資産を直接交換する方式です。


  - 北朝鮮の支援を受けた組織が関与したと分析された複数の最近の事案では、THORChainを活用したETH-BTC変換が繰り返し確認されています。THORChain自体は正規のクロスチェーン流動性プロトコルですが、脅威アクターがこれを悪用して資産を別のチェーンに移転する場合、単一チェーンベースの追跡の複雑性が増す可能性があります。


4) 現金化(OTC)段階


  - 最終段階では、OTC(店頭取引)ネットワークが活用されます。OTCとは取引所のオーダーブックを介さず当事者間で直接取引を行う方式であり、中国語圏のブローカーや両替ネットワークが主要な役割を担っていることが知られています。


  - 最近では、Huione Pay、Huione Crypto、Haowang Guaranteeなどいわゆる「Huione関連サービス」を含む東南アジアを拠点とするOTCエコシステムが、マネーロンダリングに関する主要な懸念対象として継続的に挙げられています。



📌 主要なロンダリングインフラ


Blender.io


- Blender.ioはビットコインベースの仮想資産ミキサーサービスです。米国財務省は2022年5月にBlender.ioを制裁した際、これが仮想資産ミキサーに対する初のOFAC制裁事例であると説明しました。財務省はまた、Blender.ioがRonin Bridgeハッキングで窃取された資金のうち2,050万ドル以上を処理したと発表しました。


- Blender.ioは、入金されたビットコインを内部流動性プールに混合した後、複数の新しいアドレスに分散送金する仕組みを使用していたとされます。この仕組みにより、出金タイミングを遅らせたり複数のアドレスを経由させることで、取引フロー分析を困難にしていました。


- Blender.ioは、北朝鮮が関与したとされる仮想資産マネーロンダリング事案において、初めてOFAC制裁が適用されたミキサーとして重要な意義を持ちます。


Tornado Cash


- Tornado Cashはイーサリアムベースの分散型スマートコントラクトミキサーです。スマートコントラクトとはブロックチェーン上で事前に設定した条件が満たされると自動的に実行されるプログラムであり、Tornado Cashはこれらのスマートコントラクトとゼロ知識証明(ZKP)技術を組み合わせて、入金アドレスと出金アドレスの関連性を弱めました。


- ゼロ知識証明(ZKP)とは、情報そのものを明かさずに特定の情報を保有していることを証明できる暗号技術です。Tornado Cashでは、ユーザーはどの入金と紐づいているかを明かさずに過去のプールへの入金事実を証明するだけで出金できるため、入金アドレスと出金アドレスの直接的な相関分析が困難になります。


Sinbad.io


- Sinbad.ioはビットコインベースのミキサーサービスであり、Blender.ioへの制裁後に北朝鮮に関連した仮想資産マネーロンダリング事案で繰り返し確認されたビットコインミキサーです。米国財務省は2023年11月、Sinbad.ioがRonin BridgeとHarmony Horizon Bridgeハッキングで窃取された資金の処理に使用されたとして制裁を実施したと説明しました。


eXch


- eXchはユーザーの本人確認(KYC)を最小限に抑えた、匿名性を重視した仮想資産交換サービスです。eXchは複数のブロックチェーンに対応しており、ユーザー情報の収集を最小化する方針から、様々な不正なマネーロンダリング事案で資金移動の経路として利用されてきました。


- Ellipticによると、eXchはBybitハッキング後に北朝鮮の支援を受けた脅威グループが利用した主要なマネーロンダリング経路の一つとして確認されました。eXchはユーザーの本人確認を最小化し、マネーロンダリング対策を十分に適用していなかったとして批判を受けており、Bybit事案後にはマネーロンダリング対策をめぐる議論がさらに拡大しました。その後、eXchは事業終了を発表しました。


THORChain


- THORChainはクロスチェーンスワップをサポートする分散型プロトコルです。クロスチェーンスワップとは、中央集権型取引所を介さずに異なるブロックチェーンの資産を直接交換する方式を指します。


- THORChainは元々、正規の分散型金融(DeFi)サービスとして設計されました。しかし、Bybitハッキング後に窃取された資金がTHORChainを経由して移動したことが確認され、北朝鮮の仮想資産マネーロンダリングプロセスで繰り返し確認される主要サービスとして評価されています。


中国系ロンダリングネットワークとHuione


- Chinese Laundromat(中国系ロンダリングネットワーク)は特定のサービスではなく、中国語圏のOTCブローカー、資金仲介業者、エスクローサービスなどで構成された非公式なマネーロンダリングネットワークを指します。TRM Labsは、北朝鮮の支援を受けた組織が窃取した資金の最終清算段階がOTCや資金仲介ネットワークに外注される傾向があると説明しています。これは、北朝鮮の仮想資産ロンダリング構造がミキサーなどの技術サービス中心から金融ネットワーク中心へと拡大していることを示しています。



📌 公開IoC及び識別情報の分析


- かつてはBlender.io、Tornado Cash、Sinbad.ioなどのミキサーサービスがロンダリングの主要手段として利用されていましたが、最近ではTHORChain、eXch、Huione関連サービスなどのクロスチェーンスワップおよびOTC基盤のインフラが繰り返し確認されています。


- 北朝鮮の支援を受けた組織によるマネーロンダリングでは、個々のウォレットアドレスよりも、資金が経由するサービスやプロトコル自体がより重要な追跡対象と評価されています。


- 脅威アクターはアドレスを継続的に変更することができますが、ロンダリングインフラは繰り返し再利用されるか、類似した形で再出現する傾向があります。


- IoC及び識別情報のより詳細な分析については、以下のリンクよりお問い合わせください。



✅ 脅威検知の推奨事項と対策方法:


- 検知・対応プロセスにおいては、公開IoCに基づく検知に加え、サービスやプロトコルを中心とした行動ベースの分析を並行して実施する必要があります。



🧑‍💻 レポート作成者: S2W 「TALON」


👉 レポートに関するお問い合わせ: https://s2w.inc/ja/contact


*当該レポートは、S2Wのプラットフォームにて提供されます。詳細に関してはお問い合わせください。


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